プロスポーツチームによるアクセラレータ。「LA Dodgers Accelerator」メンターにはマジックジョンソンも。

August 31, 2015 スクラム代表・宮田ブログ

現在、2位のサンフランシスコジャイアンツに3.5ゲーム差をつけてナショナルリーグ西地区トップを走っているロサンゼルスドジャーズですが、このシーズンの真っ最中に、あまり?野球とは関係のない発表をしました。

おそらくプロスポーツチームとしては初となる、テクノロジー企業の育成プログラム、「LA Dodgers Accelerator」を開始したのです。

「ドジャーズがアクセラレータ?」
「メジャーリーグ球団がテクノロジー?」

と意外に思われた方も多いと思います。

ただ、プログラムの内容、メンター陣、参加企業などをよく見てみると非常にユニークで面白いのです。

先月からロサンゼルスで始まったこのプログラムは、自社でもIoTのアクセラレータ 「R/GA Accelerator」で実績のある広告代理店 R/GA との共同運営です。LAに用意されたコワーキングスペースでこれから三ヶ月間のプログラムが始まります。

今回、34ヶ国、600社もの応募の中から最初のバッチに選ばれたのは下記の10社です。

1 : Appetize:イベント会場向け決済システム
2 : DoorStat:観客データ分析ソリューション
3 : FieldLevel:学生アスリート特化SNS
4 : FocusMotion:フォーム /姿勢トラッキング技術
5 : Kinduct:アスリートデータ管理システム
6 : LeagueApps:チーム運営アプリ
7 : ProDay:プロスポーツ選手とのトレーニングサービス
8 : SidePrize:ファンタジースポーツ
9 : SwishAnalytics:ファンタジースポーツ分析ツール
10 : Yenzo:スポーツファン掲示板

ちなみに、Scrum Venturesの投資先のFocusMotion社も選ばれています。ウェアラブルデバイスを使って、ワークアウトの自動カウントやヨガの姿勢トラッキングなど非常にユニークな技術を開発しています。

インタビューの中でプログラムの責任者の方も述べられていますが、プロ野球チームが主催するアクセラレータと言っても、「野球の道具やウェア」といった狭い範囲のテクノロジーではなく、野球ビジネスを「エコシステム」として捉え、スタジアム、観客、アマチュアスポーツ、プロスポーツ、ファンなど、エコシステムの様々な対象に向けた非常に幅広い企業が選ばれている印象です。

これは私がCVCの成功事例としてよくお話をしているBMWのi-Venturesの例のように、オープンイノベーションの一つの手段であるCVCやアクセラレータを通して、自社の「ビジネス領域を拡張する」アプローチです。

また、実はメジャーリーグとテクノロジーの距離は意外と近いのです。

メジャーリーグ自体も、Major League Baseball VenturesというCVCを持っており、2012年からテクノロジー関連企業への投資を行っています。Scrum Venturesでも、以前ブログで紹介した「バス」のスタートアップ Chariotで共同投資しています。

最近では、選手のエンジェル投資も活発です。

あのヤンキースのジーターAロッドもベンチャー投資を行っていて、普通にCrunchbaseのプロフィールがあります。Scrumでも有名なアーティストやアスリートと共同投資をすることがよくあります。この辺はまた別の機会に詳しくブログに書きたいと思います。

ドジャーズのオーナーであるかつてのNBAのスター、マジックジョンソンもメンターに名を連ねるこのLA Dodgers Accelerator、個人的にはいきなりスターウォーズの新ロボットを生み出したDisney Acceleratorを超えるサプライズもあるのではと期待しています。


資金調達

「スマホクラウドワーク」のSpare5、「算数アダプティブラーニング」のDreambox、「ドローン製造」のEhangなどが新たに資金調達しました。Spare5は、通勤時間にできるクラウドワーク。写真のタグ付け、コンテンツの整理などスマホでできる単純な作業に特化したタスクのクラウドソーシング。DreamBoxは、小学生の算数に特化したアダプティブラーニング。ゲームっぽいインターフェースで、算数を楽しみながら、かつそれぞれの進度に合わせてレベルが変化します。

[Marketplace/オンデマンド] Spare5
Series A ($10M) Foundry Group, Madrona Venture Group and NEA
「スマホクラウドワーク」

[SaaS/教育] DreamBox Learning
Series B ($6M) Foundation Capital and Reed Hastings
「算数アダプティブラーニング」

[Hardware/ドローン] EHANG
Series B ($42M) GGV Capital, GP Capital, and ZhenFund
「ドローン製造」

[Marketplace/教育] Coursera
Series C ($49.5M) GSV Asset Management, KPCB, NEA
「オンライン教育マーケットプレイス」

[App/交通] Uber
Private Equity ($1bn) Baidu, China Life Insurance, CITIC Securities International
「オンデマンドタクシー」

ブログの更新情報をメールでお届けしています。

米国の注目スタートアップ情報 テックトレンド スクラムベンチャーズの投資先インタビュー
などをブログで発信しています。合わせてメールでもお届けしていますので、お気軽にご登録ください。

ニュースレター登録

でも情報発信しています。

関連ポスト